Intel Gigabit CT Desktop Adapter を iSCSI HBA として利用する
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実売価格 3,000 円台の Intel Gigabit CT Desktop Adapter (EXPI9301CT) は、ファームウェアを書き換えるだけで iSCSI HBA(iSCSI ホストバスアダプタ)として利用することができる。
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ファームウェアを書き換える
ファームウェアを Intel のサイト[1]からダウンロード する。(PREBOOT.EXE バージョン 16.4)
ダブルクリックで解凍する。 インストーラが起動するが、C:\Intel16.4 に解凍するだけなので、OS にインストールされたり、ファームウェアの書き換えはされない。
DOS 起動 USB メモリに、解凍したファイルのうち次の2ファイルをコピーする。
APPS\BootUtil\DOS\BootUtil.exe APPS\BootUtil\BootIMG.FLB
USB メモリから起動。
DOS のプロンプトが表示されるので、BootUtil
を実行する。
Starting... Microsoft(R) Windows Millennium (C)Copyright Microsoft Corp 1981-1999. C:\>BootUtil Intel(R) Ethernet Flash Firmware Utility BootUtil version 1.2.72.0 Copyright (C) 2003-2011 Intel Corporation Type BootUtil -? for help Port Network Address Series WOL Flash Firmware Version ==== =============== ======= === ===================== ======= 1 001E8C051FB6 Gigabit YES LOM,PXE 2 001B21B77891 Gigabit YES PXE 1.3.21
インテル製の NIC がリストされる。
上記例では、Port 1 は Flash Firmware が LOM (LAN on Motherboard) になっているのでオンボード NIC だとわかり、Port 2 が増設した Intel Gigabit CT Desktop Adapter だとわかる。
NIC 2 (Port 2) を iSCSI Boot ファームウェアにアップデートする。
C:\>BootUtil -NIC=2 -UP=iSCSI Intel(R) Ethernet Flash Firmware Utility BootUtil version 1.2.72.0 Copyright (C) 2003-2011 Intel Corporation Programming flash on port 2 with flash firmware image Create restore image of NIC 2 before proceeding? (Y)es or (N)o: Y Saving flash firmware image on port 2 to file 10D34003.NIC...saved Updating iSCSI removes PXE functionality. Would you like to continue? (Y)es or (N)o: Y Flash update successful Port Network Address Series WOL Flash Firmware Version ==== =============== ======= === ===================== ======= 1 001E8C051FB6 Gigabit YES LOM,PXE 2 001B21B77891 Gigabit YES iSCSI 2.7.67
元のファームウェア(PXE)が 10D34003.NIC という名前で保存され、iSCSI Boot ファームウェアにアップデートが完了。
これで、iSCSI Remote Boot に対応した iSCSI HBA のできあがり。
ファームウェアを元に戻す
iSCSI Boot ファームウェアから、元の PXE ファームウェアに戻すには、バックアップしたファームウェアイメージをリストアする。
BootUtil -NIC=2 -RI -FILE=10D34003.NIC
バックアップしたファームウェアイメージがない場合は、PXE ファームウェにアップデートすればよい。
BootUtil -NIC=2 -UP=PXE
iSCSI HBA として設定する
POST 画面に Intel(R) iSCSI Remote Boot ... と表示されるので、Ctrl + D キーを押す。
青色の画面になり、iSCSI Remote Boot の設定をする。
- 使用する NIC の Port を選び P を押す。DISABLED から PRIMARY に変わり有効になる。
- iSCSI Port Selection を選び Enter を押す。
- iSCSI Boot の設定をする。
- iSCSI CHAP の設定をする場合は、iSCSI CHAP Configuration で設定する。
- Save changes and Exit を押し保存する。
- Esc キーで設定画面から抜ける。
例の画面には 1 つしかない。
画面上部が iSCSI イニシエータの設定。下部が iSCSI ターゲットの設定。
DHCP による自動設定をする場合は、画面のようにデフォルトのままにしておく。
DHCP を使用しない場合は、iSCSI の環境に合わせ適宜入力し、OK を押す。
入力例 | 説明 | |
Initiator Name: | 空白 | 自動的に割り当てられる |
Initiator IP: | 192.168.1.2 | NIC の IP アドレス |
Subnet Mask: | 255.255.255.0 | サブネットマスク |
Gateway: | 192.168.1.254 | デフォルトゲートウェイ |
Target Name: | iqn.2011-03.example.org.istgt:target1 | |
Target IP: | 192.168.1.200 | |
Target Port: | 3260 | |
Boot LUN: | 0 |
POST 画面に iSCSI ターゲットへ接続できたか表示される。
接続成功例 (FreeNAS ISCSI サービスへ接続)
Attempting to connect to target disk using MAC address(001B21B77891) LUN: 0 DEVICE: FreeBSD iSCSI DISK 38.34 GB
接続失敗例
Attempting to connect to target disk using MAC address(001B21B77891) ERROR: iSCSI target not found.
iSCSI Remote Boot の設定(イニシエータの設定)に問題がなければ、BIOS の起動デバイスに Intel(R) iSCSI Remote Boot が表示されるようになり、iSCSI デバイスをハードディスクとして認識するようになる。 |
iSCSI Boot に対応した OS
PREBOOT.EXE を解凍したフォルダ内にある APPS/iSCSI/DOCS/index.htm に書かれている。
RHEL では、RHEL 5.2 以降のバージョンで iBFT (iSCSI Boot Firmware Table) がサポートされているので、OS のインストール時に iSCSI ドライバを読みこませるような特殊な操作が必要ない。